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PARAMUSHIR〜信じ続けた士魂の旗を掲げて 感想

赤坂ACTシアターで3/18昼・24夜とライブビューイングの3回観劇した感想のまとめです。

ガンガンネタバレしてますので、5/5のWOWOW放映をお待ちの方がもしいらしたら、ここからスクロールしない方がよいです。
言うこといっぱいあってとりあえず言い切りたいだけで書いてるからよく分かんないし読みづらいし、解釈が合ってないところがあるはずでその配慮も足らないけど、とにかく頭の中のことを出さないと他のことが頭に入らないのがやばい。まじで記憶の外付けHDDほしいのですが、どこかで開発されてませんか。こんな時間かけて文字に起こさなくても、頭の中がBluetooth経由で移管されればいいのに。

 

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感想、まず全体感から。

この作品、めちゃくちゃ好きです。森崎演出が揺るぎなく好き。2016年のNACSⅩⅩライブビューイングでタイトルが出た時に感じた、期待だけど不安っていう気持ちを遥かにどうでもよくさせる、超ど真ん中NACS。不安とドキドキを持って申し訳ない。超越してくるのすごすぎ。好きしか言えない。大好き。

5人もいろんなところで言ってるけど、この題材をもって確かにエンタメだった。史実を追いながら頭と心の両方を使わされるバランスが絶妙。そして森崎演出ゆえのロマンチック要素。戦車「チハ」に明かりをつけて暗転で星空のように見せるのとか(ライブビューイング全く映りませんでしたね、残念……)、ラストシーンの白い花とか。そのロマンチックさで話を苦しさだけにしない。森崎さん惚れる。いや前から惚れてましたけど。森崎さん的には、矢野に短銃を向ける場面がめちゃくちゃにはちゃめちゃにかっこよかったので目撃してない人はWOWOWかDVDで絶対に見てください。映らなかったら、、、心の目で。いや絶対に見せて。わたしはその冷酷な姿に仕留められたいと思いました。

 

フライヤーのあらすじに「北海道は二分されていたかも知れない」という文章があるけど、ベルリンの壁崩壊を衛星中継で見てたら、危機感とか怖さの肌感が違ったのかな。まだ小さくて記憶に無いんだよな。そういうことを考えると、NACSさんたちがあらすじの文章をどう捉えてたのかって気になる。生まれた土地を2つに分けられる、身を裂かれるつらさ。わたしより怖さの形がはっきりしてるのかな。

 

初回観劇ではオープニング映像からザワザワと鳥肌が立ち、息を吸ったまま吐くのを忘れそうで、頭の中では人混みの中で好き……ってうずくまってた(一目惚れのようにね)。3Dの千島列島を北上していくアングル、スピード感が特にゾクゾクしますね。映像が幌筵島占守島を捉えた時には本当に始まるんだと、より胸がギュっとなったのでした。2回目で気づいたけど、占守島の左半分くらいは白い雲に覆われていたのね。はっきりと形が見えていなかった。あれは霧でしたか?

 

最初の突撃シーンの後、敵に向かって駆けてゆく5人のシルエットが映されるところが2回目観劇時の泣きはじめシーン。インスタで#paramushirを検索していたら、ロシア語の風景画像をいくつか見つけて、その中にだだっ広い平原の中を走っている子どもの画像があったのね(画像の埋め込み方法が分からない。ううう…)。ああいう場所に飛び出していくの想像するだけで相当キツい。

 

アンサンブル2人が旗を広げて映像が流れ、3日前に戻っていくところもすごく好き。太平洋戦争の皆が知っている画像、映像を流しながら時を戻していく。過去を知っている観客を知らないところに連れて行くタイムマシン。写真集を買ってサントラを聴いてからこれがカノンのアレンジだってことに気付いてまたザワザワした。観てるとき全然わからなかった…曲がちょーかっこいい…。

出てくる旗はどれももれなく好きだけど、停戦になるところの白旗が特に印象的です。重なり方とかよく考えたのだろうな、と。規則正しい重なりじゃない不安定感。事実、すんなり停戦とは行かず交戦することになる。あ、舞台が始まる前に降りてた幕もよかった。幕に書いてあった黒い線(線?いい言い方がわからん)が舞台上に書かれた線と繋がっていたの。これは1回目が2階席だったから分かったこと。2階席前方から観るの、よかったなあ、目の前に広がる景色の奥行きがね。

っていうか、ACTがいい劇場だ!それまで地方の大きな会場でやってきて馴染んだか、ACTのデカさが感じられない。規模が丁度いい感じ。WARRIORの時はデカいなって思ったの覚えてたのに、今回は全然そんなこと思わなかった。あとACTは席の前後は狭いけど、椅子の前後とのずれ方が最高にいい。視界がかぶらなくてとても見やすい、好き。

幕の話に戻します。霧の中にいる雰囲気が出る、戦車を三方から囲む幕。逃げてきた田中に向かって幕の間から銃が狙っているシーンが照明も含めて本当にきれい。劇中のどんな照明もロマンチックできれいだ。森崎演出といったら音楽が一番に出てくるキーワードだと思うけど、照明も、照明にも掴まれる。視覚と聴覚掴まれてんだから、そりゃ話で揺さぶられたら感情にダイレクトにくるわ…。泣くのもただ泣くじゃなくて震えるくらい泣けちゃうんだよ……。なんだよずるいよ……。タオル案件と聞いてたけど、厚めのタオルじゃなきゃだめだったし……。震えて声出ちゃうから、タオルで押さえないとだめなやつ……。

 

アンサンブルさんのこと。ライブビューイングではみなさんの演技がアップで見られて、親御さんとかずっと見てきた方の気持ちを想像してじーんときてた。パンフレットのプロフィールに所属事務所が載ってるのでさえ泣ける(出演依頼等のお問い合わせ先という意味ですよねあれは)。15人の熱ってデカいです。すごいパワーだ。水島隊の家が阿寒の兵士、膝カックンしてはしゃぐ3人、竹田浜で亡くなる兵長、入院組の2人、、、そんな目立つシーンでなくてもどのシーンも彼らがいなきゃいけなかった。ほんと、ライブビューイングで細かく映してくれてありがたやでした。いろんな場面で思うけど、劇場で観るには目が足らないのどうにかならんかな。

缶詰工場の女子従業員3人。台詞も歌も泣かされた……。スッと心持ってかれますね。船で脱出する前の小此木さんの台詞で「私にもできることがあるはず」っていうのが刺さってる。わたし、10代後半ってすごく正義感が強くて真面目だったから、もし戦時中に生きてたらああいうこと言ってた気がする。で、心優しい友だちを巻き込んで勇んで行って、しまいには死なせちゃったかも。そんなこと考えたら生きてるのが今でよかったって安心した。

桜庭がガダルカナル島の話をするときの、戦車の周りで蠢く兵士たちのシーンも好き。血の照明とゆったりとじっとりと動く身体が美しい。ダンス公演を観るようになって身体の動かし方についての知識が付いてきて、自分の中でこんなシーンの感じ方にバリエーションが出てきた気がする。言葉にはまだうまくできないけど。ダンス観るの、いいですよ。

山下と矢野。戦車から出てきて話すときの山下の声、よかったー。矢野の声に似てて。山下は矢野の心を表すからそうなんだけど、本当に声が似てた。そこからの最後「生きろよ」がねーーー本来の山下がこの一言に出て涙ぶわっと。山下と矢野って、五十音順なら並ぶのだろう。どれだけ親しかったんだろう。彼らの過去には何かあったんだろう。想像して苦しい。

 

矢野はライブビューイングでやっと理解ができた。表情の変わり方、すごいですね。劇場で声とか佇まいとか雰囲気で掴んでたつもりだけど、つもりにしかすぎず、表情で引き込まれた。もっと前列か双眼鏡で見られればよかった。自分のこと家族のことを語らず、山下以外の全部を満州に置いてきてしまった感じがする矢野。エピソードが多い桜庭、田中、水島に比べて引き込むのが難しい役をやる音尾さん、感嘆。この公演のストーリー的には桜庭が主役に思えるのだけど、公演サブタイトルに入っている「士魂の旗」は矢野が所属していた戦車第十一連隊の旗(十一を士としている)で、わたしが思うより矢野の持ってる役割ってずっしり重いのではないかと。そう考えるとまだ理解しきれてないのか……ぐるぐる。

 

田中はもうひたすらせつない……。小樽でサチコと出会わなかったら、恋しなかったら、結婚しようと思わなかったら、戦場に来なくてよかったんだよ……。なんで戸籍、取り寄せちゃったんだよ……。なんできっかけの人がサチコなんだよ、お願いだからその名前は幸子ではなかったことにしてくれ……。幸せの人だったらつらすぎるじゃないかよ……。田中については、2回目の時、冒頭からちょっとだけ「ふるさと」が弾けていることに気がついてせつなさ。お母さんからハーモニカをもらって、ハーモニカの吹き方もふるさとの音符もわからなかったはずなのに、その音取るまでがんばったね……せつない。でも最後まで弾けなかったね……せつない。だめだわかりやすくせつない。

ライブビューイングでは田中が持っていた写真にちゃんと子どもが写ってるのが見えて、それはとてもとても耐えられなかった。あの写真を見てる場面、戸次さんよく泣かなかったよね。中の人としては泣けるところだと思うのに、泣かない演技がすごいよ。

 

水島軍曹、2回目に観たときは水島によく目が行って終始「水島が優しすぎてくるしい……」と思っていた。人の心配ばかりする。全体的にできた人だ。繊細な人だが(だからこそ?)戦中では兵士であること、軍曹であることに徹していた人。どんな環境でも役割を全うできる強い人なんだろう。洋食屋さんの皿洗いもよくできて、ずっと勤めていられれば上の人にもかわいがられてどんどん仕事を任せられて、料理ができるようになったら美味しいカレーを作れたんだろうな。娘に「父ちゃんが作ったカレーだ」って微笑んで食べさせたんだろうな。優しい。想像していま泣きそう。水島は小宮に「あなただったから話せた」っていうようなことを言うけど、ここに水島がいたからこんなチームになれたんだおおお初めの一歩はあなただよおおおって声に出したくなる。

水島の台詞で好きなのは、ソ連の兵士を「まだ子どもだった」っていうところ。あの台詞、ストーリーが政治的にならないことにかなり効いてますよね。資料書籍を読んでいると、ソ連軍も急遽の部隊で戦っていてそっちはそっちでやるせない。竹田浜から上陸するとき戦車なんか無くてソ連兵士は泳いで陸に上がっていったことを想像すると、今回のキャストに思う気持ちと同じになるもの。つらい。

ダ・ヴィンチで戸次さんが「大泉さんの水島は意外でしたけどね」と言っているけど、うんうん、そう思う。大泉さんは優しい人なんだけどその優しさって全面に出なくて、だからこういう役は貴重だと思う。水島はリーダーがやりそうだもの。

 

そのリーダーが演じていた小宮。小宮は本当にに戦場に向かないですよね。幌筵島ではない別の地域に赴任してたらもっと短い生涯だったんじゃないかな。言葉が適切ではないと思うけど、小宮は運がよくない人。反対に桜庭は運がいい人。生き残るから。ただ、運がいい人には苦難が続く。過酷でも生き残ってしまうから。小宮は、こういうのは運とか言っちゃいけないけど、この時代に軍人の家に生まれたことからそれがはじまってる。ねえ、なんでこの運命に従わなきゃいけなかったんだろう。小宮をもっと自由に生かせてあげたかったよね。指図する側ではないって分かってるから士官学校でよく勉強したんだろう。その努力を別のところに使わせてあげたかったよね。

これまで経験した戦場を語っていく地獄マウンティングの場面(不快に思われそうな言い方だけど実際にそう思ったからそのまま書きます)、小宮は戦場に出てないけど、小宮の共感のしやすい性格は精神的な地獄なんじゃないかな。部下の気持ちに共感してしまってでもそれを抑えて冷静に統率しないといけないの、地獄では。

小宮で一番ザワザワ心が揺れるのは、最後の戦闘シーン。ひたすら兵士を助けているが、救えない小宮。短銃を頭に向けて自決しようとするが、思い直して戦いに向かってゆく。この一連、上手側のしかも舞台傾斜の下、照明が暗い方でやってるから小宮を見続けないとわからないって。初回に観た時、なんで混乱の中こんなことしてるの、どうして、ずるい、あなただけで見たかった……と悔しさを感じ。2回目はちょっと意図が分かって、兵士を救えなかった小宮の苦しさに共感して、その後ライブビューイングでは小宮は生きることに覚悟を決めたのだと理解したのでした。小宮、やっと自分の意思に従えた、自由になれたんだって。ライブビューイング映像、この場面来るってドキドキしていざ銃構えるってなったときに、別の人に一回カメラ切り替わったの。あれ、映らなかったかーって残念に思ってたら逆サイドのカメラにがっつり捉えられて、そのカメラワークもしびれてしまった。あのカメラで小宮のこの動きを知った方が多かったみたいで。最後にすごいのあったでしょ、森崎さん、あの人素敵でしょと誇らしくなったのでした。

余談ですが、あんなに抑圧されて生きてきたのに、歌だけには自己肯定感すごいのなんなんだ。(わかってる…あれはネタだ…下手さかわいい…)

 

ライブビューイングで一番泣かされたのは桜庭。子どものことを話すとき、「息子は誰に似たのか無口で」の後にあった間が好き。安田さんのことを知ってるから、ここでちょっと客席の空気が緩むんですよね。で「映写技師になりたい」だもの。無理だよここー。泣かないわけないよー。映画女優になりたかったお嬢さんは歌をうたうのが好きだったのかな。奥さんは花が好きだっなのかな。とか考えてると、慰問に来てた女子従業員を助けようとしたことにまた泣く。

2回目観た後、GoProとかのアクションカメラを各俳優に付けてそれをマルチアングル収録してほしいなとちらっと考えてもいたけど、全部見られることが果たして本当によいのか?知りたいけど知らない方がロマンチックだよなと思うに至ったの。ラストの桜庭の表情なんてその最たるもので、あれは4人しか知らなくていいんじゃないかって。こんなこと言って、WOWOWとかDVDでバシッと映ってたら喜ぶんだけど。ぐるぐるするなあー。矛盾だらけ。

 

5人の年齢考証がTwitterで流行ってるんですけど、わたしも考えて結局頭が迷子になってしまって、正しさを求めなくてもいいっかーってとこに行き着いた。でもみなさんがいろいろ考えてる過程を読むのは楽しいから、どんどん書いてほしい。詳しい方には解説してほしいし、いろんな意見を読みたい。ファンブックまでいかなくても、薄くても束になってるやつ読みたい。束に……誰か……

 

千秋楽からもうすぐ1週間、日が経って忘れていくのがとても怖いと思うし、この気持ちの濃度が薄まっていって、でもふっと大切に思い出すような時がくるのもまた良いかも、とも思うし。覚えていてと歌う「幌筵島の唄」が響いてるのにこう言うのもなんだけど、人って忘れるし忘れないと生きていけないこともあるから、忘れてもいいのでは、ってことも思ってしまう。対して、50年ずっと忘れなかった桜庭は、今生きてるわたしたちではたどり着けない場所にいるんだろう。なんて過酷で残酷な世界。

 

ひたすらきつい苦しいと泣くけど、稚児車が咲くラストを観た後は切実に生きたいと思う。5人がそれぞれのつらさを溶かしあったように、誰かを溶かす、許す人として生きたい。そんな希望の話だから、こんなにも考えるんだろうな。

まとまりきらない。なんか、真面目な話もいいけど、推しさんの良い場面ばっかり集めてプレゼン大会しよう。ひたすら明るい話して5人を供養しよう。で、笑いながら泣こう。わーそれめっちゃやりたいー。